アースがダメです [SONEX再生計画]
前に弦アースの裏技、なんて、偉そうな記事を書きましたが、それが裏目に出て面倒なことになりました。
そもそも、ブリッジかエンドバーのアンカーを抜いて、アース線をきっちり噛ませればよかったのです。しかし、当地はインチ社会のため、取外しに使うミリ規格のボルトもナットも手に入りませんでした。
それにこのギターは火災の高熱に晒されているので、力技を使うと何が起こるかわからないし・・・・
とにかく、アースの不調で私のSONEXは、激しくノイズを拾うギターになってしまいました。
まず、弦とハードウェアが通電するか調べてみました。
んっ? 37メガオーム? マジすか?
弦に触る前はもちろん抵抗値無限大です。
弦に触ると完全な絶縁状態ではないことがわかります。
しかし、こういうのが一番たちが悪いです。通電しているとはいえ抵抗値高過ぎるし。
試しにワニ口コードでブリッジに直結にしてみると・・・正常になります。
ゲインを上げても弦に触れるとノイズは消えてくれます。
とりあえずはこれで正常に弾けるので、目立たないように黄色のコードにしてみましたが・・・
「だめだめ、こんなインチキしちゃ!ちゃんと修理しなさい!」と天の声。
もう、ピックガードを外すコツを会得したというか、弦を緩めて、ブリッジだけ取り外して、弦をまとめてぐっと上に持ち上げれば、
ピックガードはその隙間から簡単に抜くことができます。
タップネジを前より少しだけ長いもの(新しいものを切断して調整)に交換しました。
樹脂ボディーはすぐにネジが緩んでしまうため、今回はエポキシ系接着剤で固めました
(前回はホットグルーを盛っておいただけ)。
これで本当にほんと、配線作業は完了といきたいですね。
(なお、弦アースについては、今は道具が無いので帰国後にきちんとやり直します)。
ストラップピン [SONEX再生計画]
配線も終わり、いよいよストラップピンを戻して完成です!
SONEXのボディーは散々言って来たとおり、樹脂モールド製です。よって、モクネジ類は脱着を繰り返すと、極端に効きが悪くなります。ギブソン社は力のかかるネジの当たる位置には、小さな木片を配して、この問題を解決しています。
もし、SONEXをお持ちでピンが緩んで困っている方がいましたら、詰め木で対応してください。ネジ穴を移動すると非常に危険です。
これはショルダーピンの穴です。穴の奥が狭くなっているのがわかりますか?
そこが木材になっています。
こちらはエンドピンの穴。
困ったことにねじ穴が大きくなっています。
これでは純正のモクネジはうまく効きません。
今回使ったストラップピンと取り付けネジです。ピンはふたつとも純正品です。ネジはクロームが純正で、黒いタッピングネジは社外品です。
エンドピンのネジは下の黒いものに交換しました。
ショルダーピンのネジは恐らくはじめて外したのではないかと思われます。そのため、純正品でもきっちり固定できました。
こちらは穴が緩んでいましたが、太目のタッピングネジに換えたので、まだ詰め木はしなくてもよさそうです
これで全パーツが元に戻りました。ということは完成??
何か感動の少ないエンディングですね。
達成感が無くて、こんなはずでは・・・・・来週へ続く
はやりミニトグルが死んだ [SONEX再生計画]
前回発覚したピックアップコイルのリード線の断線を修理して、アンプテストしてみると、あれっ??
またしても、タップが効かないですよ?????
そうです、ハンダ付けはもうダメだ、と自分で言っておきながら、何度も下手クソなハンダ付けを繰り返した結果、トグルスイッチが死んでしまいました。
「やはりメーカーの言う通りだった」などと感心している場合ではありません。
まだ生きているであろうダミースイッチを外して、壊れたものと交換。音出し確認で異常なし。あー、取っておいて良かった。
こちらが死んだスイッチだけど、外から見ても全然分からないよね。
死んだほうもダミーとして、もう一度働いてもらいます。
もう配線は完了ということで、アースを正式に落としまして・・・
いちいち半田付けが面倒なので作業中は生線を仮つなぎしていました(昔はギボシコネクターを使っていたなあ)。
音出しテストも徹底的にやったし、これでネジ止めしても大丈夫(だと思う)。
作業中に何度も弦を緩めたり張ったりしたので、1弦が切れてしまいました。
アメリカのghs社は弦のばら売りをしてくれるので、おいらみたいな、いじり専門の非プレイヤーは助かるよね。
そうこうしているうちに、配線作業は完了です。もうピックガードを外すのは嫌ですよ。
どうも配線が違うようだ?? [SONEX再生計画]
音の出るギターの状態まで復活したSONEX・・・・
何か違うんだよね。何だこの違和感??
リアピックアップのハムバッキング時のパワーが全然足りないんだ。
で、また、弦を緩めて、ピックガードを外して、、
しばし配線と睨めっこ。
そして分かりました。コイルの位相が恐らく間違っています。
黄色の矢印のように赤線と白線をまとめてありますが、これが原因では?
白線を外して、反対側の青線とまとめました。
これでピックガードをボディーに戻して、アンプにつなげてみると・・・・・
やった爆音復活!コイルの出音をお互いにキャンセルしていたんですね。
これで終わりかと思ったら、程無くして、今度は音そのものが出なくなりました。
おいおいっ、また、ピックガードを外すんかい??
面倒くさいんだよ!もう。いい加減、勘弁してください(涙目のオヤジ)。
音が出ない原因はすぐに判明。先ほど白線を外した際、端子に残した赤線がぷっつりと断線していました。
泥沼にずぶずぶ沈んでいくオヤジであります。
タップスイッチの向きが違うぞ! [SONEX再生計画]
前々回にちらっと触れましたが、タップスイッチの問題です。
音出しテストで、タップが機能していることは確認していました。
左がフロントピックアップ、右がリアピックアップ用です。
ところがフロイントとリアで向きが逆だったのです。
これがどういうことかというと、例えばスイッチを2つとも手前に倒すと片方はハムなのに、もう片方はシングルになるということです。
で、どちらも同じ向きにするために、一番簡単な方法は片方のスイッチを180度廻すことです。
前にも言ったとおり、このミニトグルスイッチはハンダ付けの許容回数を超えてしまっているので、熱を加えることは極力避けたいところです。
そこで、スイッチ周りのスペースが多い、フロントピックアップ側のスイッチを廻すことにしました。
こちら回転前。
こちら回転後。
まあ、これだけのことで直るわけです。
どちらのスイッチもギターを抱えた時に上(手前)がハム、下(向こう)がシングルになりました。
タップが直ったところで、ミニトグルスイッチが1個余ったので、このギターの本来のタップスイッチの穴(アウトプットジャックの脇)を塞いておきました。
こちらは配線されていない、ダミーのスイッチとなります。
それからコントロールノブを付けました。1V2Tはレジェンドのストラトからそのまま転用。いい感じに色焼けてしています。
もう一個はギャランレスポールのレストア用に購入してあったノブが手許にあったので、それを付けました。TONEと表示されていますが、気にしない気にしない。
早い話、あり合わせのものを使っただけなのですが、何となく、理由があって、フロントのボリュームノブだけ変えたようにも見えますね??
これにて配線完了のはずでしたが・・・・・・
ピックガードの装着 [SONEX再生計画]
SONEXの場合、電装はストラトキャスターのようにアッセンブリーでピックガードに乗っかっているので、ボディーへの搭載はとても簡単です。
とはいうものの、
すでに弦を張ってあるギターの場合、話はそう単純ではありません。
私はじゃま臭がりなので、弦を緩めてブリッジのほうを外してしまいます。
弦を外したり巻き直すのをなんとも思わない人は、もちろん外して作業してください。
それから、ピックガードを所定の位置に配置するわけですが、ボディーキャビティーの中に配線一式をうまく格納するのは地味に面倒です。
特にこのボディーのように1980年モデルは弁当箱ザクリではないので、余計に面倒です。
配線を噛んでいないか手の感触で調べています。
しかし、ピックガードそのものがヨレヨレなので、なんだか良く分かりませんね。
全部、収まったところで、ピックガードを一度取り出して、ポットのナットを締めて固定します。
最後にアース線を弦アース用のリグにハンダ付けして・・・
あとはネジ止め、といきたいところで、ピックガードが熱でかなり縮んでいる事実が発覚。
もはや、キャビティーが隠れていませんね。
こちらもちょっと変形しているようです。
こちらは引っ張られてひびが入っています。
ピックガードはプラ板から自作もできますが、オリジナルがこれでは型を起こすことができません。ちなみにアメリカ本国では今でもアフターマーケットパーツとしてSONEX用のピックガードを販売しています。
結局、ねじ穴そのものは合っているので、そのままネジ止めしました。
縮んでしまったピックガードはこのギターの歴史ですから、これでいいのだ。
配線開始! [SONEX再生計画]
本プロジェクトもいよいよ終盤。配線に取り掛かります。
まずはパーツ類を仮配置。ほとんどがもともと付いていたものの再生品か他ギター(レジェンドST)から外したものです。
フロントのボリュームコントロールポットだけは新品です。国産良品ギターファクトリーさんのもので、昨年帰国した際、修理用に買っておきました。
私のやり方では、配線はピックアップ側から攻めていきます。これは音の流れ方そのものなので、配線図が無くても直感的に分かる方法です。
はじめにピックアップのリード線をタップ用のミニトグルスイッチに接続しました。
タップはピックアップごとに独立です。
実はここですでに問題が発生しているんです。
音を出すまで分からなかったんですが・・・・
次にミニトグルからボリュームポットへ接続。
ワイヤーは当時もののアメリカ製無線機から回収したオールドパーツです。身近で使えそうなものを使ったというだけの話です。
お次はボリュームポットからピックアップ切り替えスイッチへ。さらにアウトプットジャックへと接続してゴールに到達!
これでもう音は出るはずですね!
早速アンプに繋いでみます。ピックガードごとひっくり返して弦を弾いて・・・
よしっ、音出しOK!
最後にボリュームコントロールポットからトーンコントロールポットに配線して、アースを廻してできあがり!
コンデンサーはSONEXの純正品です。
これにて配線は終了しました。
と、ならないのが、このブログ。
この先、結構、こじれます。
もう、やることが素人なんだから・・・
ピックアップの搭載 [SONEX再生計画]
ピックガードは熱でヨレヨレになったオリジナルしかありませんので、それを再利用します。
SONEXのピックガードはそうでなくとも、ほとんどがヨレヨレしています。
ピックアップリングは新品のものが手許にありました。
さすが元カスタムギターだけあって、裏には銅箔がちゃんと貼ってありますね。
リングはレスポール(アーチドトップ)用です。
SONEXはフラットトップなので加工しないと使えません。
紙やすりの上でシコシコして平らに加工しました。
SONEXのリングはボディー直付けではないので相当薄くなるまで削っても大丈夫です。
これで乱暴に加工されたピックガードの拡張痕も隠れます。
どうせ見えないんですが、こういうボロ隠しは、本当はあまり好きではありません。
豆腐ピックアップを装着。
うまく付きました。
ただし、ピックアップの高さに合わせてリングをもう一度削る必要があるかもしれませんね。すべて現場合わせ、トライアンドエラーでぼちぼちやってますんで。
お豆腐ピックアップ [SONEX再生計画]
もともとこのSONEXに搭載されていたカービンのピックアップは火災の後も微かに音が出ていました。これはこれで凄いことだと思います。
しかし、汚れと臭い、そして、べたつきが激しかったので、勉強のために分解観察してから廃棄しました。夢中でやったので写真撮るのを忘れてしまいました。おそらく皆さんはそちらのほうがよほど関心があるかと思います。
で、今回、修復に使うピックアップは、将来は純正品に戻すという前提で、レジェンドHSHストラトについていたフルカバードのハムバッカーです。
ピックガードから露出していたところだけ日焼けしてクリーム色になっているので、なにやら、おいしそうです。
豆腐のような、チーズケーキのような??
ストラト搭載時にカバーが外れてしまうので、ホットグルーで固めたのは私です。
フロントとリアではリード線が異なるため、まず、コイル構成を考えてみました。リード線間の抵抗値をそれぞれ計ると簡単に分かります。
こちらはフロントピックアップです。
想定されるコイル構成は比較的シンプルです。
しかし、コイル単体の抵抗値がかなり違うので、どちらのコイルをシングルに使用するか迷いますね。
リヤはちょっと複雑かな。網線とは別の凄く短いのが黒です。
青を緑と考えるとダンカンのハムと同じになるのかなあ。
コイルの関係は分かりましたが、極性まで調べなかったので、後々面倒なことになります(大汗)。
極性はポールに金属を近づけたり遠ざけたりすると一瞬起電するので、テスターでどちらに振れるかを見れば分かるんですけど・・・
しかし、正体不明のハムバッカーピックアップは困りますね。リード線がメーカーで統一した配色になっていないからです。
次回から、これらの結果を元に、配線を行いますので。いよいよ最終章です!
ピックアップセレクターのメンテ [SONEX再生計画]
SONEXの純正ピックアップセレクターは横長タイプのトグルスイッチです。
(これは1982年から韓国製のカバードタイプに代わります。)
修復中のギターに付いていたのは純正品ではありません。
一見、昔の国産レスポール用みたいだけど、ネジのピッチがインチです。やはり米国製なのかなあ?
まだ、パチン、パチンという切り替え感がはっきりしているので、これも再生することにしました。
完全に分解しました。
似たようなパーツが多いので作業中のディジタル画像を撮りながら作業を行いました。そうすれば組み立てで間違うことはなくなります。便利な世の中になったものです。
分解して板バネの接点を磨いて組み直しました。その際、例のネバダルを使ってみました。
この画像では片方だけ磨いたところで撮影したのですが、どちらを磨いたのか分からなくなってしまいました。(左かなあ??)
出来上がってみると、はじめとなんら変わらない仕上がり?
しかし、切り替え時の感触がかなり変わってしまいました(ぐにゅぐにゅした感じ)。ビスを緩めてベーク板とその心棒になっているビニールチューブで微調整。
無事にカチカチ感が戻りました。
最後にテスターで通電チェックして完成です。
ただし、これもミニトグルと同じで、実際に回路に入れてみないと使えるかどうか分かりません。