ネックがヤバいんだよね [SONEX再生計画]
1980年製カスタムの指板はなんとエボニーです。
エボニーは緻密で硬いと一般に言われていますが、それでは収縮性はどうなのでしょうか?
火災の高温で、こうなりました。
あちこちにひび割れができました(黒くて良く分かりませんね)。
完全に水分が飛んだんでしょうね。
もはやトリートメントで戻るレベルではありません。
ただし、そのままでは湿気を吸いそうなので、オリーブオイルを摺り込んで保湿してあります。
指板のエボニーに比べて、ネック本体のメイプルは殆ど縮みませんでした。全体として反りもねじれも無し。凄いぞ、メイプル3ピースは!
ただし、サイドの本体と指板の接合面にちょっとした段差ができております。
しかし、さらに驚いたのはフレットが縮んでいることです。明らかに短くなっています。そして、ところどころで浮きが見られます。それでも、そこまで酷くもないなあというのが、まあ率直な感想です。
そして、前にお見せしたと思いますが、サイドポジションマークがすべて飛び出して、すでに無くなったものもあります(この画像では全て抜いてあります)。
ネックはいろいろと細かい被害が出ていて、昔の状態にはもう戻りそうもありません。さあ、どうしたもんか・・・
ヘッドの亀裂を直した [SONEX再生計画]
随分前にこのギターのヘッドに亀裂があることを紹介しました。
SONEXの1980年製カスタムはメイプル3ピースネックであることをまず認識しないといけません(多くのSONEXに見られるマホガニー1ピースではありません)。
トラスロッドがギブソン標準であることにも注目してくださいね。
火災でその接合面が剥がれてしまったようです。
光にかざすと隙間が分かります。
幸いネック本体までは達していないようなので隙間だけを接着してしまうことにしました。
相変わらず手許に目ぼしい工具はありません。万力がないので圧着とまではいきませんが、タイトボンドを充填後にこんなことをして
裏と表で針金を使って絞り上げました。
相変わらずスジは残って、見かけは作業前とほとんど変わりませんが
光は漏れてこないので、これでよしっ!
おいおい、本当に良しか?
ボディーの汚れ落とし [SONEX再生計画]
火災に遭ったギターの清掃は汚れ+臭いとの戦いです。
1980年製カスタムのボディーはザクリが弁当箱ではないのが災いして、汚れ落としが特にやり辛くなっています。
汚れ・変色には物理的なものと化学的なものがあり、煤やヤニのような物理的なものは手間をかければ落とすことができますが、熱や煙で変性してしまったものは諦めるしかありません。
また、臭気は相当しつこいです。4年以上経ってもまだ遠くにスモーキーマウンテンの生ごみのような不快な臭い(あくまでも個人のイメージで実際に行ったことはありません)が残っています。
こんな時は塗装を全部剥がして再塗装をすればいいのですが、私は火災の記憶も残したいのでオリジナル塗装にこだわっています。
で、今回は家にある使えそうなもの(コンパウンドから歯磨き粉まで)はすべて試して、この金属磨き、ブラッソが一番効果的でした。
普段は含まれている研磨剤のせいで塗膜に摺り傷ができるのでギターには絶対に使いません。
しかし、この研磨剤が今回に限ってはいい仕事をしてくれました。これ以上、研磨剤が効き過ぎると塗装が剥げてしまうというぎりぎりのところで使えました。
問題はこのケミカル自身もまた相当臭いことです(錆び落とし剤に似ている)。換気に注意しないと吐きそうになります。
で、集中してやってなんとか妥協できるところまできれいにすることができました。
オリジナルである白が出てしまったところもありますが、まずまずの出来です。ただ、TVイエローっぽい強い黄色がなくなってしまいました。それはちょっと残念です。
キャビティーの中は一週間くらいかけて、ブラッソと小さなウエスやら綿棒を駆使して、とりあえずきれいにすることが出来ました
フロントピックアップのところにある「謎の丸いもの=SONEXに見られる丸いステッカーあるいはその痕」もしっかり残すことが出来ました。この丸はこのギターがリフィニッシュされていないことの証でもあります。
真打登場! [SONEX再生計画]
いよいよ本丸、SONEXのレストアを行います。
このブログはもともとそのために始めたものです。ずっと脱線していますね。
1980年製のSONEX-180 CUSTOMが今回のネタとなります。
在りし日のCUSTOM80改。マーぼいじゃっ!(どこの言葉?)
このギターの画像がネット上で拡散していますが、これ、私の所有するSONEXですので。
もちろん、この状態に戻すというわけではありません。
今回のミッションは私に残された最後のSONEXが楽器として再生できるか見極めるところまでです。
楽器として生き返るのなら、日本に帰ってからパーツ集めをして組み上げることにします。
なんせ火災現場から焼け出されたギターなんてそうそうお目にかかれるモノじゃないし、私のレストア人生の集大成となるかも。
実はこれまでも、時々、いじっていはいたんですよ。
壮絶なクリーニング作業でした。汚れた手でカメラを触るのが嫌でほとんど写真を撮っていません。
ところで、これまで毎週土曜日に更新を続けてきましたが、今後は定期的というのはちょっときついかもしれません。
というのも、ついに帰国命令が出たので、本業のほうもそれなりに忙しくなってきて。
まあ、ぼちぼち続けさせていただきますので。